クロどんなテーマから読みたいニャ?
クロどんなテーマから読みたいニャ?

「成功したい」そんな気持ちを1度は抱いたことがあると思う。
でも最近は、その逆──「もっと静かに、自分のペースで生きたい」と感じる人も多い。
どちらを選ぶにしても「自分が本当に望んだ道」じゃなければ、自由にはつながらない。
心理学では、他人と比較して選ぶ目標よりも「自分で決めた目標」に向かって進むほうが幸福度も成長も高まりやすいと言われている。
この記事では、自分の基準で生きられるようになるための「動機づけ心理学」を紹介していく。1



前半は生き方の話、後半は心理学の解説ニャ。
✅この記事の概要
心理学では人が「自律性」を感じられるほどウェルビーイング(生活の充実感・幸福度)が高まりやすいと言われている。
つまり「自分で選んだ行動のほうが、人を元気にする」ということだ。
結論を先にいうと、まず大切なのは「自分が本当にやりたいこと」を見つけること。
ここがズレていると、どれだけ頑張っても疲れるだけになってしまう。
他人との比較や、周囲の期待ではなく。自分で決めること。
その小さな積み重ねが、自分軸の強さになっていく。
「自分がやりたいことをできている」
これは、自己啓発でよく語られる「どんどん成長しよう」という話とは少し違う。
「私の人生はこんなはずじゃなかった」と願う未来は、どれだけ追いかけても幸福にはつながらない。
でも、それは「人生がうまくいくかどうか」の問題じゃない。考え方の問題だ。
どんな状態でも、人はいつからでも自分軸を取り戻すことができる。私はそう思っている。
とはいえ「本当にやりたいことなんて分からない」と思う人も多いかもしれない。
そんなときは、まず「比較ゲームをやめる」ところから始めるのもありだ。
あの人は夢を叶えて楽しそう
新人ですら仕事ができるのに、私は
自分をバカにした人を見返したい
比較そのものが悪いわけではない。ただ、比重が大きすぎると心が持たなくなる。
上には上がいて、比較には終わりがない。勝っても負けても、ずっと苦しい。
だからこそ、比較を軸にした生き方はおすすめしない。
他者には感謝を。比較するなら、せめて「過去の自分」と。
人はどうしても「隣の芝生が青く」見える。表面的な部分だけを見て、そこにある努力や背景を想像できなくなる。
その罠にはまると「他者より上に行く」「努力せずに勝ちたい」といった思考がクセになり、自分の軸を見失ってしまう。



自由な生き方とは正反対ニャ。
人はいつだって、自分軸を取り戻し、自分で自分を決めることができる。
極端な例になるが、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』という本がある。2
そこには、「どんな極限状態に置かれても、精神の自由だけは奪われない」という、人間の内面についての記録が残されている。
フランクルは第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所に送られたユダヤ人のひとり。
収容所での生活は、想像を超える過酷な環境だったはずだ。
その中で彼は、外から与えられる快楽や力ではなく、「自分の意思」によりどころを見出した。
人生には、どんな状況でも意味を見出すことができる。
人はいつでも「自分の精神性」にだけは触れることができる。そこに、自分軸の原点のようなものがある。
ここからは、心理学における「達成目標理論」(Achievement Goal Theory: AGT)について解説していく。
達成目標理論とは「人は有能でありたいという思いから、どんな目標を持つかを決める」と考える理論である。
達成目標理論で、もっとも成長につながりやすいとされるのが「自分の能力を高めようとする方向性」と言われている。
これはマスタリー接近目標と呼ばれる。これが「自分軸で生きる」にもっとも近い。
私は、どうすればこれを達成できるだろうか?
能力を伸ばすには、どんな練習や工夫が必要だろうか?
次点は、「他者と比べて、自分を良く見せようとする方向性」であり、これはパフォーマンス接近目標と呼ばれる。
あの人よりも高い点数を取りたい
誰かに良いところを見せたい
どちらの目標も、努力しようとする気持ちを生み出す点では共通している。
ただし、短期的な目標や他者との競争ではマスタリー接近目標よりも、パフォーマンス接近目標のほうがモチベーションを維持しやすい。
どちらにしよ、努力が目標達成に繋がることには変わりない。



一言で言うと「努力が大事」ってことニャ。
達成目標理論では、「人が目標に向かうときの考え方の土台」は大きく2つに分けられる。
成長理論:人は努力によってスキルを獲得し、能力は伸びていく
固定理論:能力は生まれつき決まっており、価値は他者の評価で変わる
成長理論は、後述するマスタリー目標と結びつきやすく、固定理論はパフォーマンス目標と結びつきやすい。
目標達成に向かうときの「目標の立て方」には、主に2つのタイプがある。
マスタリー目標:努力とは、自分の能力を高めるためのもの
パフォーマンス目標:その目標は、他者から良く見られるか?
簡単に言えば、マスタリーは自分基準、パフォーマンスは相対基準だ。
どちらの目標も、人が「自分は有能かどうか」と感じているかによって、さらに細かい方向性に分かれていく。
マスタリー目標とパフォーマンス目標を「接近と回避」に細分化したもの、これを「2×2モデル」という。
接近=努力する
回避=現状維持
この4つを組み合わせると、次のような「4種類の目標」が生まれる。


① マスタリー接近目標(努力 × 自分基準)
:自分の能力を伸ばすことに意識が向いたタイプ。
② マスタリー回避目標(現状維持 × 自分基準)
:スキルや知識を失いたくないという動機で行動するタイプ。
③ パフォーマンス接近目標(努力 × 他者比較)
:他者より優れていることを示すために努力するタイプ。
④ パフォーマンス回避目標(現状維持 × 他者比較)
:他者の目線を強く意識して失敗を避けようとするタイプ。
達成目標理論の4つのタイプの中で、もっともネガティブな結果につながりやすいとされるのが「パフォーマンス回避目標」である。
そのため、パフォーマンス回避目標は避けたほうが望ましいとされている。
また、固定理論に基づくパフォーマンス接近・回避目標のどちらにも深く関係するのが「セルフハンディキャップ」だ。
課題に取り組む前に、意識的・無意識的に不利な条件をつくり出す行動。
巧妙な自己防衛の心理が働いている。
〇失敗した場合
不利な条件を言い訳にし「能力がないから失敗したのではない」と自尊心の低下を防ぐ(自己防衛)
〇成功した場合
不利な条件があったにもかかわらず成功したことで「自分は有能だ」と自己評価を強く高める(有能感)
セルフハンディキャップは一時的に自尊心を守れる。
しかし、ウェルビーイングの観点ではほとんど価値がなく、長期的には成長を妨げる。
また、マスタリー回避目標も一見安定して見えるが「能力低下への不安」が強い状態だ。
自分軸ではあるが、これが長期間続くと不安やストレスにつながりやすい。
基本的には、自分軸となる「マスタリー接近目標」を中心に据える。
短期的な競争や他者比較が求められる場面では「パフォーマンス接近目標」と使い分けるのが良い。
もちろん、セルフハンディキャップのように「努力を避けるための擬似的なパフォーマンス接近目標」は成長を阻害するため避けたい。
自己決定理論(Self-Determination Theory: SDT)は、人のウェルビーイング(生活の充実感・幸福度)に深く関わる、動機づけ研究の中心的な理論である。
この理論では、人が健やかに成長し、幸福を感じるためには「自律性・有能感・関係性」という3つの基本的欲求が満たされることが重要だとされている。


まず、自己決定理論の中核となる「3つの基本的欲求」を簡単に説明していく。
結論から言うと、自己決定理論では「自分で決めること」が幸福に繋がる。
自己決定理論では、「自律性・有能感・関係性」が満たされるほど、内側から湧き上がる意欲「内発的動機づけ」が育ちやすいとされている。
好きだから、面白いから、やってみたいから──といった「行動そのものが楽しい」と感じる状態。
外側からのご褒美や評価ではなく、自分の内側から生まれる意欲のこと。
エンゲージメント(熱意、没頭、活発な関与)を高める手段の1つ。
一方で、外発的な動機づけ(報酬・評価・叱責など)も決して悪いものではない。
自分の価値観や意味づけと結びつけることで、外発的な動機づけが徐々に内面に取り込まれ、「内発的動機づけ」に近づいていくと考えられている。
自律性が高まるほど、有能感や関係性も自然と満たされやすくなり、結果としてウェルビーイング(生活の充実感)も向上すると多くの研究で示されている。
動機付け研究で有名な「フロー理論」は、自己決定理論の文脈では「高いエンゲージメント状態」とほぼ同じものとして扱われる。





ここから自己決定理論、6つの構成について説明するニャ。
基本的欲求理論(Basic Psychological Needs Theory:BPNT)は、自己決定理論の中心となる考え方だ。
自律性・有能感・関係性という3つの欲求が満たされるほど、人は意欲や幸福を感じやすくなるという理論である。
この3つは「あると良い」ではなく、人が健やかに生きるために欠かせない心理的ニーズだとされている。
3つの欲求が満たされると意欲が湧き、逆に欠けるとストレスや無気力につながる。
この法則は文化や年齢を問わず確認されており、自己決定理論が幅広く支持される理由にもなっている。
認知的評価理論(Cognitive Evaluation Theory:CET)は、人の「内発的動機づけ」がどんな条件で高まったり、弱まったりするのかを説明する理論である。
この理論では、外からの刺激が自律性や有能感にどう影響するかで、意欲は大きく変わる。と考えられている。
反対に「過度な管理や監視、命令的な指示、強い評価プレッシャー」などは、自律性を奪い、有能感を損なう。
結果、内発的動機づけを弱めてしまう。
例えば、勉強を始めようとしていた子どもに「勉強しなさい」と命令口調で言うと、自律性が奪われて意欲が削がれやすい。
「どんな環境や声かけが、意欲を高めるのか?」を理解するうえで、認知的評価理論は非常に重要な視点となる。
ただし、自律性や有能感の感じ方には、文化による違いが存在するとも指摘されている。
日本では「空気を読む」「調和を保つ」が重視されるため、自律性の表れ方が海外と異なる場合がある。
有機的統合理論(Organismic Integration Theory:OIT)は、外発的な動機づけが「どのように内側に取り込まれ、自分の価値観に一致していくか」を説明する理論である。
外から与えられた行動理由でも、意味づけや納得感が高まるほど、自律的な動機へと近づいていくと考えられている。
例えば「資格を取れと言われたから始めた勉強」が、続けるうちに「役に立ちそう」「自分の目標に合っている」と感じられるようになり、自律的に取り組めるようになるイメージだ。
OITが示すのは、外発的な動機づけでも「意味を見いだせれば」自律性が高まり、内発的に近づけるという点である。



つまり「選択肢はあなたが持っている」ってことニャ。
目標内容理論(Goal Contents Theory:GCT)は、「どんな種類の目標を持つか」で幸福度や動機づけの質が大きく変わる、とする理論である。
この理論では、目標は大きく「内的人生目標」と「外的人生目標」に分けられる。
研究では、内的人生目標に向かって行動するほど、自律性・有能感・関係性が満たされやすく、幸福度が高まりやすいことが示されている。
反対に、外的人生目標ばかりを追い続けると、他者評価への依存やストレスが増え、ウェルビーイングが低下しやすいとされている。
「どんな目標を選ぶか」は、努力量だけでなく、人生の満足度そのものを左右する。
また、外的目標<内的目標は、あらゆる研究(フロー理論・PERMA理論)でも関連が示されている



内的な目標を持つことが大事ニャ。
因果的志向性理論(Causality Orientations Theory:COT)は、人が行動するとき「どんな理由を重視して動いているのか」を3つのタイプで説明する理論である。
同じ行動でも、動かす「心の向き」が違うと、意欲の質やストレスの感じ方が変わってくる。
自律的志向が強いほど、行動の満足度や継続率が高まりやすい。
一方、統制的志向が強いとストレスが増え、無力志向が強いと意欲そのものが低下しやすいとされている。
自分がどの志向になりやすいかを知ることは、モチベーションの改善やストレス管理に役立つ。
この記事内で説明している達成目標理論の「マスタリー目標とパフォーマンス目標」に照らし合わせると
自律的思考:マスタリー接近目標
統制的志向:パフォーマンス接近目標
無力志向:パフォーマンス回避目標
関係動機づけ理論(Relationships Motivation Theory:RMT)は、「人がどのような動機で人間関係を築くのか」を説明する理論である。
SDTでは、良い人間関係が「関係性の欲求」を満たし、幸福度の上昇やストレスの低下に大きく影響すると考えられている。
自律的な関係ほど満足度が高まり、支え合いが自然に生まれやすい。
一方、統制的な関係はストレスや罪悪感が増え、幸福度が低下しやすいとされている。
人間関係における「安心感・尊重・つながり」が、心理的な健康を支える大きな基盤となる。
ここまで「達成目標理論」と「自己決定理論」を見てきた。
2つを合わせて考えると「どんな目標設定が、人の幸福や成長にもっとも良い影響を与えるのか」がより明確になる。
専門研究では細かい要素が多いが、本質は驚くほどシンプルだ。
達成目標理論が示す最良の目標は「自分の能力を伸ばすための努力(マスタリー接近目標)」
自己決定理論が示す最良の動機は「内側から湧き上がる意欲(内発的動機づけ)」である。
この2つが重なると、行動がもっとも続きやすく、幸福感・成長・自己肯定感が大きく高まる。
逆に「他者に勝つための目標 × 評価への不安」でも、短期的なパフォーマンスなら上げることはできる。
しかし「ストレス・比較不安・燃え尽き」につながりやすいことも多くの研究で確認されている。
自分基準で成長を目指し、内側から湧く動機で動けると幸福とパフォーマンスは自然と最大化される。
これは努力の量ではなく、「どんな基準で努力するか」「どんな動機で取り組むか」という「質の問題」なのだ。
面白いのは、ここに環境要因は存在しないことだ。
アウシュヴィッツ収容所という極限状態で、フランクルが「自分の意思」を重視したことにも繋がる。
人はどんな状況においても「生き方を自分で決める」ことができるのだ。
達成目標理論と自己決定理論は一見すると複雑だが、根底にある考え方はとてもシンプルだ。
本質は「他者との比較や評価のためではなく、自分の成長そのものを楽しみ、自分の意思で行動すること」という一点に尽きる。
とはいえ、人は社会的な存在であり、他者と比較してしまうのは自然なことだ。
大切なのは、その比較をそのまま苦しみの材料にせず「どう自己成長につなげるか」という内向きの基準へ変換することである。
もちろん「口で言うは易し」で、誰もがずっと努力を続けられるわけではない。
だからこそ、このブログでは「どう生きればいいのか」「どうすれば自分を保てるのか」のヒントを丁寧にまとめている。
気になることがあれば、ぜひ他の記事も読んで、自分なりの軸を育てていってほしい。
✅ この記事のまとめ
✨自分軸で生きる方法
本記事は筆者の経験や公開された研究・書籍をもとにまとめた参考情報です。
内容を鵜呑みにせず、ご自身の状況や感覚と照らし合わせてお読みください。
ここで紹介する内容は、あくまで自己理解のヒントに過ぎません。
専門的な判断や緊急の対応については、ページ下部に記載した相談窓口もあわせてご確認ください。


この記事が気に入ったら
フォローしてね!
コメント