クロどんなテーマから読みたいニャ?
クロどんなテーマから読みたいニャ?

勤勉で誠実な人。
これは社会で「評価されやすい性質」と言ってもいいだろう。
しかし、誠実性に「遺伝も関係している」と言われたら、どう感じるだろうか。
実際、心理学で用いられる性格理論であるビッグファイブにはこの「誠実性」という因子が存在する。
人の行動のコントロール力を示す性格特性。
ビッグファイブ理論では、性格は「外向性・神経症傾向・誠実性・開放性・協調性」の5つに大別される。
このうち「誠実性(Conscientiousness)」は、目標に向かって努力する力や、衝動を抑えて行動を調整する力を表す。
この心理学モデルに照らすと、「誠実性が高いことは良い/低いことは悪い」という価値観は、個性の多様性を無視している。
この記事では「誠実性が高い人/低い人」の特徴を、科学・行動・体験の3つの観点から解説していく。
✅この記事の概要
この記事では、こちらの文献を参考にしています。1
まずは、現代心理学で言う「誠実性」とは何なのかを見ていこう。
誠実性という言葉だけを聞くと「人に対して誠実であること」を連想しがちだ。
だが心理学で言う「誠実性」とはもっと行動面に関わるもので、別名「勤勉性」とも呼ばれる。
ひと言でいえば、自分の行動をどれだけコントロールできるかを示す性質だ。
例えば、ギャンブルにはまる/SNSがやめられない/好きなものを我慢できない。
こうした行動傾向には、誠実性という性質が関係していると言われている。
誠実性が高い人は、衝動に巻き込まれにくく、ギャンブルなどにも依存しにくい。
一方、低い人は刺激に影響されやすく、ハマりやすい傾向がある。



もちろん「必ず」ではなく、あくまで統計的な傾向ニャ。
ビッグファイブ理論は、現代心理学で最も広く使われている性格モデルの1つである。
このモデルでは、5つの主要因子それぞれに、さらに細かな「下位因子(ファセット)」が存在する。
国際的に使われている誠実性の下位因子は、次の6つだ。
これら6つの要素は、大きく分けると次の2つの側面を持つ。
この6つの下位因子を眺めると、少し面白いことが見えてくる。
世の中の「自己啓発本・ビジネス本」が書いている内容の多くは、この誠実性の下位因子を高めるための方法なのだ。
能動的成分:目標に向けて動き努力する力(アウトプット系)
| ファセット | テーマ・スキル |
| 自己効力感 | マインドセット変革・自信醸成 |
| 達成努力 | 目標設定・モチベーション維持 |
| 義務感 | 責任感・プロフェッショナリズム |
抑制的成分:衝動を抑えて行動を調整する力(実行管理系)
| ファセット | テーマ・スキル |
| 秩序性 | 計画立案・タスク管理 |
| 自己規律 | 習慣化・集中力 |
| 慎重さ | 意思決定・リスクマネジメント |
つまり、社会は無意識のうちに「誠実性の高さ」を求めていると言える。
実際、研究では「誠実性が高い人は健康面、収入、対人関係を頑健に予測する」とまで言われている。
「絶対」という言葉を使わない科学者が、「頑健」という言葉を使う意味はとても重い。


社会は「誠実性」を高く評価する。しかしこの誠実性には生まれつきの要素。つまり遺伝も関与している。
ビッグファイブにおける誠実性の遺伝的要因は40〜50%程度関与しているとされている。研究によって差はある
もしこれが事実なら、「努力する力」にも生得的な違いがある可能性が示唆される。
もちろん、性格は「遺伝+環境」の影響が複雑に絡み合って形成されるため、どちらか一方だけで決まるわけではない。
ただ、この事実を踏まえると「誠実性が低い=怠けている」という解釈は無理がある。
生まれ持った特性の違いを責めるのは、やはり偏った見方だと感じる。



誠実性は「努力の量を決める才能」と言える部分もあるニャ。
前の章でも触れたが「誠実性が高い人ほど成功しやすい」というのは、統計的にはあながち間違いではない。
誠実性が高いと努力の継続力や計画性、目標に向けた粘り強さが強まりやすい。
こうした特徴が結果的に「成功しやすさ」につながると考えられている。
誠実性が高い人は、いわゆる「社会的に良い」と評価されやすい特徴と相関がある。
ここで言う「良い」とは、道徳的な意味ではなく、社会生活を円滑に進めるうえで有利になりやすい性質のことだ。
たとえば、誠実性の高さは次のような指標と関連すると言われている。
もちろん、これはあくまで統計上の「傾向」であり、誠実性の高さがそのまま人生の成功を保証するわけではない。
ただ、誠実性が社会的にプラスに働きやすい場面が多いのは事実だ。
逆に言えば、誠実性が低いからといって「ダメな人」というわけでもない。
後の章で触れるように、誠実性が低い人には別の強みがあり、それは環境によって光る。



誠実性の低さにも魅力があるニャ。
誠実性が高いこと自体は悪いことではない。
ただし、高すぎる場合は「強迫的」「完璧主義」になりやすいと指摘されることがある。
誠実性の下位因子には、秩序性・自己規律・慎重さといった「コントロールの強さ」に関わる要素が含まれている。
これらが極端に高くなると、次のような傾向が表れやすい。
この状態は、行動が「丁寧」なことを超えて「こうしなければいけない」という強迫的な思考になってしまうことすらある。
後述するが、私がそうである。
誠実性が高い人は、まじめさ・責任感・慎重さゆえに評価されやすいが、同時に「自分を追い詰める」力も強い。
社会的には長所として扱われがちだが、本人の内側では負担を抱えていることも珍しくない。



まじめすぎるほど、しんどさも生まれるニャ。
では、「社会が求めている誠実性」とは逆に、誠実性が低い人はどう見ればいいのだろうか?
何度も述べてきたように、現代社会では「誠実性が高い人」が有利になりやすい。
誠実性が低い人の中には、注意が散りやすかったり、衝動的に動いてしまったりする特性を持つ人もいる。
それらの特性の評価は限定的だ。しかし本当に「欠点」なのだろうか?
結論から言えば、違う。
「あくまで今の社会では、誠実な人が評価されやすいだけ」であり、本質的には誠実性の高低に優劣はない。
これは道徳の話でも、励ましでもない。進化論の話だ。
変動淘汰という言葉がある。これは「環境が変われば有利な性質も変わる」という仕組みだ。
さらに、人類の多様性は負の頻度依存淘汰という「少数派の特性が集団を支えるメカニズム」によって保たれてきた。
未知の環境に挑む場面では、注意が散りやすく新しい刺激に敏感な「探検家タイプ」が生き残りに貢献したと考えられている。
簡単に言えば、誠実性の低い人は「探検家」の可能性があり、人類の先導者でもあった可能性も示唆されている。
ただし「未知」に関する行動力はビッグファイブ因子の「経験への開放性」が強く関与しているとされる。
例えば、あなたがサバンナに食料と水だけを持って放り込まれたとしよう。周囲には肉食獣もいる。
草むらがガサガサと揺れる。あなたは分からないが、お腹をすかせたライオンだ。
誠実性が高い人は「さっきウサギだったし、気にしないでいいか」と判断するかもしれない。
だが、誠実性が低い人は「さっきはウサギだった。でも今回は?」と反応するかもしれない。
「誠実性の低さ」も、生存に直結する要素の1つなのだ。(もちろん精神状態により逆になることもある)
進化論的な考え方をするならば特性はトレードオフ。すなわち、良い面/悪い面だけを持った特性なんて存在しない。
誠実性の低さとは、新しい物への「適応力」と「機動力」という魅力に繋がる。
これは完璧主義傾向のある「誠実性の高い人」では真似できない。
「慎重さ」という誠実性の要素の1つも参照するのはあくまで「記憶」でしかなく、新しい経験に役立つとは限らないのだ。
仕事の場面では、誠実性が低い人の「柔軟性」が強みになることがある。
計画が崩れても素早く軌道修正でき、思いついたアイデアをその場で試せる。
変化の多い現場やクリエイティブな仕事では、この「瞬発力のある適応力」が大きな武器になる。
誠実性には「目標に向かって努力し続ける」「自己規律を保つ」といった要素が含まれる。
しかし環境の変化が激しい業界では、むしろ「今を見切って新しい選択肢に飛び移る」という柔軟性が重視される場面が多い。
これは言うまでもなく、競争における優位性のひとつだ。
さらに面白いのが、人の認知バイアスだ。
社会では誠実性が評価されやすいのに、物語になると「計画に固執しない・衝動的な行動力」の方が魅力的に映る。
直感的に判断してほしい。次の2つのどちらに惹かれる?
① 成績は上々だが「今」に固執する部長
② 「伝統的な暗黙のルールを破って」成果を上げる新人
小説やアニメ、ドラマを見れば分かるように、主人公に多いのは圧倒的に②番だ。
人は「つまらない統計」より「面白い因果関係」に惹かれる。
さらに「明らかに間違いである今」に固執する心理は、行動経済学でいう「サンクコストの誤謬」──既に払った対価を惜しんで撤退できなくなる現象にも結びつく。
結局のところ、どちらにも良い面と悪い面があり、「どちらが優れている」と単純に評価できるわけではない。
ここからは、私自身のビッグファイブ診断結果をもとに「誠実性」という特性をもう少し具体的に見ていこうと思う。
使用した診断はこちら👉 オープンソースのBigFiveTest(診断:2025/9)
国際基準(IPIP)に基づいて設計されており、心理学的にも信頼性の高いツールである。
誠実性 93:非常に高く、他者から信頼されやすい。
私の特徴として、これらすべての下位因子が高い。
数字だけ見れば「良いこと」のように見えるかもしれない。
あまりに高すぎると柔軟性がなくなり、強迫的な行動パターンになることがある。
特に「秩序性18」と「義務感16」という数値は、私自身の「融通が利かない」「自分を追い込みやすい」という傾向をよく表している。
「やる」と決めたことは絶対にやりとげるための努力をする。
健康習慣を意識した生活ができている(介護士としての夜勤だけがネック)
将来のために「お金」にどう向き合うかを常に考えている
私は、とにかく「ルーティン化」することが大好きだ。しかし、この徹底ぶりがそのままストレスにつながることも多い。
毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きたい(仕事の都合で崩れるとイライラする)。
本棚は「あいうえお順・サイズ順・出版順」など、矛盾する分類を同時に満たしたくなる。
仕事では決められた手順から外れると落ち着かず、気持ちが乱れる。
一度「やらない」と決めたことは、状況が変わっても徹底して避けようとしてしまう。
こうした傾向は、誠実性そのものというより、私が「今に至るまで」に置かれてきた環境の影響が強いように感じている。
私の誠実性が一貫して高かったわけではないことを示す証拠がある。
私は過去に、軽い「SNS依存・ゲーム依存」を経験しているのだ。
とあるゲームには、ひと月に200時間近く費やしたことさえある。
この「過去の私」と「今の私」のギャップこそ、性格が遺伝と環境の相互作用でゆっくり変化していくことを物語っている。
結局のところ、人が「どれほど遺伝的要因の影響を受け、どれほど環境で変わるのか」は個人ごとに違う。
年齢によっても変動する可能性もあり、明確に区別することはできない。



でも自己理解によって、自分にとっての「生まれつきの傾向」は少しずつ見えてくるニャ。
一般的には、あるいはビッグファイブの数値だけを見ると「誠実性が高いほど良い」と誤解されやすい。
たしかに社会的には、誠実性の高さが評価される場面が多い。
しかし、それをそのまま「優秀さ」と結びつけるのは、あまりにも単純だ。
誠実性が高い人にも、低い人にも、それぞれの強みと生きやすさがある。
性質は優劣ではなく、あくまで自分らしさのスタイルにすぎない。
✅ この記事のまとめ
✨私の伝えたいこと




本記事は、筆者の経験や公開された研究・書籍をもとにまとめた参考情報です。
内容を鵜呑みにせず、ご自身の感じ方や状況と照らし合わせながらお読みください。
ここで紹介しているのは、あくまで自己理解のヒントに過ぎません。
専門的な判断や緊急の対応が必要な場合は、ページ下部に記載した相談窓口。
あるいは公認心理師や臨床心理士などの専門家への相談もご検討ください。


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