外向的な人。社交的で明るく、人との関わりからエネルギーを得る人。
よく聞く特徴だが、現代心理学でいう「外向性」はもっと深い意味を持つ。
- 外向性は「明るさ」や「社交性」だけではない。
- 外向性とは、脳の報酬系(ポジティブ情動性)の強さを示す性質。
- 内向性は「ネガティブさ」ではなく、刺激への感受性の違いにすぎない。
客観的な印象の外向性、内向/外向を始めて提唱したユング心理学における外向性、現代心理学における外向性。
実はこれらすべてが少しずつ違っている。
現代心理学における外向性とは?
「社会的・身体的な報酬」をどれだけ求めるかを示す性格特性。
ビッグファイブでは、性格は「神経症傾向・外向性・協調性・誠実性・開放性」に大別される。
このうち「外向性(Extraversion)」は、ポジティブ情動性(Positive Emotionality)を指す。
ポジティブ情動性とは、社会的な報酬や人間関係における有効性(有能さ)を求める概念。
外向性の中には社交性も含まれてはいるが「外向性が高い=社交的」というわけではない。
この記事では「外向性が高い/低い人」を、科学・行動・体験の3つの観点から解説していく。
✅この記事の概要
- 外向性の正体は「脳の報酬系の反応性」であり、社交性とは別物である。
- ユングの内向/外向、一般的な外向性、現代心理学の外向性はそれぞれ定義が異なる。
- 外向性が低い=ネガティブではなく、刺激への反応の仕方が違うだけ。
- HSPやHSS型HSPは外向性と一部重なるが、完全に一致する概念ではない。
この記事は心理学の知見を個人の自己理解に役立てることを目的としています。1
そのため、学術論文の厳密な解説や、専門家としての助言を目的としたものではありません。
ビッグファイブ理論に関する因子解説は『IPIP』を参照しています。
IPIP(International Personality Item Pool)-NEO
目次
外向性とは何か?
まずは、現代心理学における「外向性」の意味を整理していく。
ビッグファイブにおける「外向性」
ビッグファイブ理論は、現代心理学で最も広く使われている性格モデルの1つである。
このモデルでは、5つの主要因子それぞれに、さらに細かな「下位因子(ファセット)」が存在する。
国際的(IPIP)に使われている外向性の下位因子は、次の6つだ。
- 友好性(Friendliness):親しみやすさ、初対面との距離感。
- 社交性(Gregariousness):人と一緒にいることの好み。
- 自己主張(Assertiveness):自分の意見をはっきり伝える力。
- 活動レベル(Activity Level):日常のエネルギー量、行動スピード。
- 興奮探求(Excitement-Seeking):刺激・新体験への欲求。
- 陽気さ(Cheerfulness):基礎的な前向き感情の出やすさ。
現代心理学では、外向性の中心にあるのは「ポジティブ情動性」だと考えられている。
ただし「刺激を求める」「大勢と話す」といった行動はすべてが外向性の本質ではない。
外向性とは、報酬に前向きに反応しやすい「ポジティブ情動性」を基盤とする気質である。
そして、その気質が日常の行動として表れやすい特性を指す。
- ポジティブ情動性:喜び・楽しさ・期待など、前向きな感情が生まれやすい素質。
- 報酬追求の行動:その感情に押され、活動的・社交的にふるまいやすくなる傾向。
社交の好き/嫌いだけで外向性は測れないってことニャ。
外向性は「報酬を求める力」
では、ポジティブ情動性とは具体的にどんな性質なのか?
ポジティブ情動性とは?
ポジティブ情動性とは「快いものに強く惹かれる力」である。
褒められるとやる気が出たり、人と話すだけで元気になるのがその典型だ。
この「報酬への反応の強さ」が高いほど外向性も高くなる。
ただし、何に惹かれるかは人によって違い、強い刺激を好む人もいれば、身近な楽しみで満足する人もいる。
心理学で言う外向性は、より生物学に近く、脳の報酬系がどれだけ強く反応するかを表す概念である。
美味しいご飯で気分が上がる/人と話して元気になる/新しい刺激にワクワクする
こうした「快の反応」の強さが外向性の根底にある。
外界の刺激に「楽しい」と反応しやすいほど、外向性は高くなる。
結果、外向性が高い人は行動的でエネルギッシュ。積極的に刺激を求める傾向にある。
「外向性」という特性の背景にあるのが、報酬系に関わる「腹側被蓋野や側坐核」といった部分。
すなわち「ドーパミン系の反応性」だと考えられている。
ユング心理学の内向/外向との違い
外向性を語るうえで欠かせないのが、ユングの内向/外向との違いだ。
日本ではMBTIが広がっているため、この2つがよく混同されてしまう。
ユング心理学:心の「方向性」
私はユング心理学が語る「内向型/外向型」の定義も好きだが、現代心理学とは扱う概念が少し異なる。2
ユングの内向・外向は、心がどちらの「方向」に向かいやすいかを示す。
外向型=外界(人・状況)へ意識が向かう。
内向型=内界(思考・感情)へ意識が向かう。
つまり、エネルギーが内側に向かいやすいか、外側に向かいやすいか。これは「心の向き」を表す概念である。
一方、ビッグファイブの「外向性」は、外界に向かうときの「エネルギー量そのもの」を測る性質である。
もしビッグファイブで「内側へ向かうエネルギー」を評価するなら、それは別因子である「経験への開放性」の領域と一部が関連している。
ただし、ユングの理論が全て間違っていたわけではない。あくまでビッグファイブ理論とは考え方が違うだけだ。
MBTIやユングの内向/外向は「個人の情報処理」や「エネルギー回復のパターン」を捉えるのに有効である。
一方でビッグファイブの外向性は「その人の行動の活発さや感情の強さ」を測るのに優れていると言える。
これらを考慮しなくても、人の内向/外向という質的な違いを初めて体系化したという功績は大きい。
内向/外向という素質を0から発見したと考えるとすごいニャ…
なお、ビッグファイブは現在もっとも広く使われている性格モデルだが、唯一の正解というわけではない。
脳や神経の働きはより複雑で、他の心理学モデルや神経科学の知見が補う部分も多い点は留意したい。
外向性が高い人・低い人の違い
ここからは、実際の数値で「外向性が高い人/低い人」違いを見ていこう。
外向性が低い=ネガティブではない
まず押さえておきたいのは、外向性が低いことは「暗い」「落ち込みやすい」という意味ではないということだ。
実際には、SNSなどで外向性が低い診断結果にショックを受けている人も多く、この部分が最も誤解されやすい。
「不安になりやすい」という特徴は、ビッグファイブでは神経症傾向(Neuroticism)が担当している。
内向型=暗いというイメージは、データではなく単なるステレオタイプにすぎない。
外向性が低いとは、刺激や社交に対して過剰に反応せず、静かな環境や落ち着いた喜びを好む性質である。
ただし、これはアンヘドニア(快感が失われる症状)とは全く別で、病理的な「喜びの喪失」とは区別される。
外向性が低い:刺激に強く反応しない、静かな喜びを好む気質
神経症傾向が高い:ネガティブ・不安定な刺激への反応性
アンヘドニア:喜びを感じる機能自体が低下する症状(臨床領域)
つまり「外向性が低いことは良くない」という意味ではないのだ。
「社交性が低い・陽気さが低い」というのは、どちらも単なる気質の違いであり、高さ・低さに優劣はない。
外向性が高い人の特徴
外向性が高い人は、社交的かつ陽気で、刺激的な体験を好む傾向にある。
外向性が高い人の傾向
- 刺激に前向き:刺激的な体験が好きでワクワクしやすい。
- 人と会うと充電される:雑談や集まりで気分が上向く。
- 行動が速い:迷うよりまず動く。
- 自己主張が自然:自分の意見をスッと言える。
- ポジティブな感情が出やすい:気分の基礎値が高い。
一見すると「理想的」に見えるが、刺激に依存しやすいという側面もある。
- 「過程」よりも「報酬」を優先する
- 1人の時間や、退屈な時間が苦手
- リスクを軽視しやすい
基本的に、広く知られている「外向型のイメージ」とあまり相違はないと思ってもらって構わない。
ただし、外見的なイメージが必ずしも「外向性の数値」と一致するわけではない。
外向性が低い人(内向性寄り)の特徴
外向性が低い(内向性寄り)人は、外見から特徴が測りにくい分、誤解されやすい。
そのもっとも大きな理由は、内向型の「静かな反応」が、外向型の基準では読み取られにくいからだ。
外向性が低い人の傾向
- 静かな刺激で満足できる:読書・音楽・散歩など。
- 人に合わせると消耗しやすい:集団より1対1が楽。
- 慎重で落ち着きがある:考えてから動くタイプ。
- 深い会話を好む:表面的な社交が苦手なだけ。
- 喜びの反応が静か:感情を内側で味わいやすい。
「刺激を強く求めない」──これが内向型の基本的な傾向である。
ただし、内向型でも外向的に振る舞える場面がある。これは「自由特性理論」による説明が有名だ。
自由特性理論とは?
人は「大切な目的(コアパーソナルプロジェクト)」のためなら、普段の性格と違う行動をとることができるという理論。3
ただし、人はいつも「大切な目的」に基づいて行動しているわけではない。
そのため表情やテンションの低さだけで性格を決めつけるのは危険である。
人は自分の基準で他者を判断しやすいバイアスを持っている。
この理解がないと「笑わない=楽しめていない」という誤解につながる。
内向型は「喜びを感じない」のではない。ただ反応が静かで落ち着いて見えるだけである。
また、外向性は「競争・社会的成功」の追求にも関係している。
外向性が低い人はその競争から距離を置きやすく、より自分の軸で生きやすい傾向がある。
筆者のケース|外向性57の「静かな外向性」
ここからは、私自身のビッグファイブ診断における外向性スコアをもとに、もう少しリアルな特徴を見ていく。
私のビッグファイブ診断結果(外向性57)
外向性 57:やや控えめだが、一部に外向的な側面もある。
- 友好性 (4 / Low):慎重で他人に距離を置く。
- 社交性 (4 / Low):大人数の環境では疲れやすい。
- 自己主張 (14 / High):必要な場面でははっきり意見を伝えられる。
- 活動レベル (15 / High):行動量が多く、エネルギッシュに動ける。
- 興奮探求 (5 / Low):リスクや強い刺激は求めない。
- 陽気さ (15 / High):基礎的な前向き感情が高い。
数値だけを見ると、私は「内向型寄りの両向型」といえるだろう。
ただし、下位因子の組み合わせが大きくねじれているため、印象から性格を単純に推測しにくい。
ビッグファイブの「経験への開放性」の下位因子には「冒険心」があるが、ここでも私は低い。
冒険心 (10 / Low):新しい行動や経験への意欲は控えめ。
これらを生活と照らし合わせると
「生活が自己完結しており、外出や人間関係への興味は薄い。ただし行動力は高く陽気」という姿になる。
一言で言えば「外部刺激には慎重だが、内側の興味や思考に強く反応するタイプ」と言える。
そのため、私は自分のことを「内的刺激追求型HSP」と呼んでいる。
(内向型HSPとHSS型HSPの中間に位置するイメージ)
私は自身の「外向性」をどう捉えているのか?
私には「刺激を求める」感覚がある。
ただしその刺激の中心は人間関係ではなく、ほとんどが「小説などの物語」である。
幼少期には外でよく遊ぶタイプで、読書習慣があったわけではない。
幼いころの行動だけを見ると、生得的には「外向性が比較的高かった」可能性も考えられる。
その後、学生時代のいじめや暴力、社会的な失敗が積み重なり、人間関係を避けるようになった。
強い刺激やリスクを避ける行動が増えたのも、この経験が影響しているのだと思う。
私は物語が大好きで、一日中読書に没頭できる。
これは「現実から逃げている」のではなく、私にとっての快の刺激が社会的刺激ではなく「物語的刺激」に向かっているだけだと考えている。なぜ物語刺激に向かったのかというのは、経験への開放性が関与する。
無理に人間関係の刺激を求めなくても、気分が安定している理由はこのあたりにある。
性格は、気質と環境との相互作用でゆっくり形づくられる。
私の場合は、さまざまな経験を経て「外向性の一部を残しつつ、刺激の種類を変えていった」結果として、現在の生き方に落ち着いたのだと思う。
まとめ|外向性は「刺激に対する反応性」
外向性は性格の優劣を示すものではない
一般的なイメージとは異なり、外向性は「社交性」よりも「快の反応の強さ」を示す性質だ。
そして、外向性の高低にはそれぞれ強みがあり、どちらか一方が優れているという話ではない。
私の考える内向型は「ビッグファイブにおける外向性の低さ」だけではなく、他の4因子も合わせて捉える必要がある。
誠実性が高い/低い内向型、協調性が高い/低い内向型。
それぞれ良い面も悪い面も持っており、自分を正しく理解すれば、自分だけの才能や適した環境が見えてくる。
ビッグファイブ診断も「自己理解」の方法の1つニャ。
✅ この記事のまとめ
- 外向性は「報酬への反応性」であり、社交性そのものではない。
- 外向性が低い=ネガティブは誤解であり、神経症傾向とは別の因子である。
- 外向性の高低には強みがある:高い人は行動的、低い人は深い集中や安定に向く。
- HSPと外向性は直接関係しないが、HSS型HSPなど一部は外向性と重なる。
- 私自身の外向性57は「静かだが行動力のあるタイプ」という個性につながっている。
✨私の伝えたいこと
- 外向性の高低は、明るい/暗いでは決まらない。
- 刺激の好み方が違うだけで、人の豊かさはどちらにもある。
- 大切なのは、自分の気質が最も生きる環境と選択肢を見つけること。
免責事項
本記事は、筆者の経験および公開された研究・書籍をもとにまとめた参考情報です。
内容を鵜呑みにせず、ご自身の感じ方や状況と照らし合わせながらご活用ください。
ここで紹介しているのは、あくまで自己理解のヒントです。
専門的な判断が必要な場合は、公認心理師や臨床心理士などの専門家への相談をご検討ください。
参考文献
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