クロどんなテーマから読みたいニャ?
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内向型でも介護職に向いているのか──その不安に、まず結論からお伝えしたい。
内向型と介護は相性がいい。外向型とは違う方向から力を発揮できる仕事である。
私自身、性格が原因で悩んだこともあったが、今では自分の特性を理解しながら楽しく働けている。
この記事では、現役で介護現場に立つ内向型の私が、「内向型×介護」のリアルな相性について率直にお話しする。



まずは運営者情報ニャ。
✅この記事の概要
内向型と介護職の相性はどうなのか? その理由はとてもシンプルだ。
介護は「考え続ける仕事」である。
介護職と聞くと「きつい・汚い・危険・給料安い」という4Kのイメージがよく語られる。
たしかに現場は大変だが、「誰でもできる」「お手伝いさん」といった認識はまったくの誤解である。
介護には、専門職としての土台となる『三原則』が存在する。
① 生活の継続性
② 自己決定の原則
③ 残存能力の活用
さらに「安心・安全の確保」「QOL(生活の質)の向上」も欠かせない要素である。
介護職とは、ひとことで言えば『利用者の生活意欲とQOLを高める専門職』である。
この役割を「日常生活のお手伝い」などという軽い表現で語ることはできない。
利用者が「何を求めているか」「何を感じているか」「言葉にできない本音は何か」を読み取り、適切な介助・傾聴を行う必要があるからだ。
さらに、介護は単体で完結しない。
利用者の状態変化を把握し、ケアマネジャー・看護師・医師・理学療法士など、多職種との連携が必須である。
そのため、医療の基礎知識、服薬の理解、認知症をはじめとした疾患の知識も欠かせない。
介護士とは、実は「高度な専門性」を求められる職業なのだ。
介護職で最も大切なのは「利用者を理解すること」
ここができなければ、ケアのスタート地点に立つことすら難しい。
利用開始前の基本情報はケアマネジャーが集めてくれるが、入所・通所が始まってからの細かな変化は毎日関わる介護職が観察していく必要がある。
家族の話と実際の様子に差がないか?
新しい環境にどれほど適応しているか?
日常生活に不安や不満がないか?
食事の食べ方・飲み込みは安全か?(誤嚥の可能性)
見当識はどの程度保たれているか?(認知症に限らず)
これらは「ただ話すだけ」で得られる情報ではない。
観察・傾聴・非言語のサインを拾いながら、ゆっくり丁寧に集めていく必要がある。
この「ゆっくりと深く理解していく過程」は、スピード重視でテキパキ動くタイプよりも、じっくり考えることが得意な内向型と相性がとても良い。
加えて、環境の変化に敏感なHSPであれば、利用者の微細なサインにも気づきやすく、ケアに活かしやすい。
介護とは、単に「利用者のケアをする仕事」ではない。
利用者に合わせた「ケアの方針」を作り、それを実行する流れを介護現場では「介護過程」と呼ぶ。
この計画を立てるのはケアマネジャーだが、実際に利用者の日々の様子をアセスメント(情報収集)するのは介護職である。
そして、ケアマネジャーが立てた方針に沿って、具体的な目標を「どう達成していくか」を考え、実行するのも介護職だ。
ケアマネジャーはロケットの設計図を描き、目的地(着地地点)を設定する。
介護職はその設計図をもとにロケットを作り、目的地まで正しく導く役目を担う。
このように、「利用者 × 介護職 × ケアマネジャー」が適切に連携して初めて、介護は成り立つ。
さらに状況によっては、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師など、多職種との連携も必要になる。
ここまで関わる職種が多くなると、「お手伝いさん」という感覚で働くことはとうてい不可能だ。
利用者が何を望み、ケアマネの定めた目標をどのように達成していくのか。これを考え続ける必要がある。
介護職とは、まさに「考えて実行する専門職」である。
利用者の中には、言葉でのコミュニケーションが難しい方もいる。代表的なのが認知症だ。
認知症ケアは本当に難しい。同じ認知症でも、1人ひとりまったく違う症状や背景を持っているからだ。
アルツハイマー型認知症:記憶障害を中心に、全体的に認知機能が低下していく
レビー小体型認知症:幻視(はっきり見える幻覚)、注意力の揺らぎ、パーキンソン症状
前頭側頭型認知症:感情や行動のコントロールが難しくなる(反社会的言動・常同行動など)
血管性認知症:脳血管のダメージによる認知低下。症状のムラが大きい。
介護職として働いていると、「最近、明らかに認知面が落ちてきた」と感じる利用者と出会う機会は必ず増えていく。
つまり、介護士には「認知症の知識」と、その知識を現場で活かす「思考力」の両方が求められる。
ある利用者が夜中に突然大声を上げた。理由を尋ねると「カーテンの隣に幽霊がいた」と話す。
このとき介護士は、即座に状況を推論する必要がある。
・ただの夢なのか?
・不安からくる心因性の幻覚なのか?
・レビー小体型認知症の典型的な「幻視」なのか?
この場面で介護士は「幽霊なんていませんよ」と否定してはならない。
レビー小体型認知症の場合、本人には本当に見えている「現実」だからだ。
こうした状況判断こそ、「観察した情報」から「適切な推論」を組み立てる力が必要になる。
認知症の診断ができるのは医師だけだ。
そのため介護士は、日々の様子を「5W1H」で記録し、ケアマネや家族に早期に共有する役割がある。
(「レビー小体かもしれない」などの推論の記録はご法度。事実のみを詳細に書く)
内向型の「深く考える」「丁寧に観察する」特性は、まさに認知症ケアで宝石のように光るスキルである。
ここからは、内向型が介護現場で発揮しやすい具体的な強みを紹介していく。
内向型は、大勢と広く関係を築くよりも、少人数と深く関わることを得意とする傾向がある。
介護施設では、利用者ごとに担当介護士が割り当てられることが多く、1人の介護士が1〜5名ほどをメインで担当するケースが一般的だ。
私が勤務してきた施設でも同じだったし、研修先でも同様の方式が取られていた。
介護士は「施設全員」をまんべんなく見るのではなく、少人数の利用者と密に向き合うことが求められる。
少人数の深い関係性の中で、じっくり向き合いながら丁寧なケアを提供する。
これは内向型の本領がもっとも活きる場面だ。
もちろん担当以外の利用者とも接するし、全員を公平に扱う必要がある。
それでも「特に深く関わる利用者がいる」という環境自体が、内向型にとって無理のない働き方になりやすい。
これは私の経験談なので、採用面接で「一人一人と丁寧に向き合える環境ですか?」と尋ねみるといいかもしれない。
介護職の三原則を見ても分かるように、介護の基本は「利用者ファースト」である。
これは単に「利用者の意思を尊重する」という意味ではなく、「利用者が自分でできることを最優先にする」という視点も含まれている。
しかし時間に追われたり職員側の都合で動いてしまうと「利用者ファースト」が崩れ、気づけば「ただのお手伝い」になってしまうこともある。
介護の基礎を学んでいない人や、人手不足の現場では「利用者を最優先」するのが特に難しい。
私も、夜勤のときや忙しいときは崩れてしまう。
内向型は落ち着いて自分のペースで物事に向き合えるため、この利用者ファーストの姿勢を保ちやすい傾向があると私は感じている。
もちろん外向型でも利用者本位に動ける人はいるが、数としては少なめ。
しかしもしいたら非常に心強く、そのパワフルさで周囲まで「利用者ファースト」に巻き込んでくれる存在になる。
ただし、この「利用者ファースト」には現場ならではの問題もある。
どの施設でも、忙しい場面で「利用者を優先する人」と「自分の業務を優先せざるを得ない人」という構図が生まれがちだ。
これは性格だけでなくその日の体調やメンタルの余裕度にも左右されるため「利用者を優先しない人=悪い人」と判断できるものではない。
私自身は「自分と利用者を50:50でバランスよく守る」というスタンスが、長く働くうえでちょうど良いと感じている。
コミュニケーションの量だけで言えば、外向型に軍配が上がる場面もある。
しかし、それは「役割の違い」に過ぎない。
内向型は利用者の「こうかもしれない」を予測する力に優れていると私は感じている。
環境が変わって落ち着かないのかもしれない。
食事を楽しめない理由を、遠慮して言えていないのかもしれない。
普段と言動が違うのは、体調や気持ちが揺らいでいるのかもしれない。
こうした「違和感レベル」の推論は記録には残しづらいが、実際に周囲へ相談したことで問題が早期に解決した経験もある。
私の施設は要介護度が高く、健康面の変化は特に重要視される。
利用者が信頼している介護士に相談してもらい、胸の内を聞くことができた。
ケアマネジャーに共有したことで、家族からの追加情報が入り、原因が特定できた。
他職種(看護師・リハビリ職)と連携し、健康面の変化が明らかになった。
内向型は、利用者の「言いたいけれど言えない心理」をすくい上げるのが得意だ。
目に見えない小さな変化に気づけるという点で、介護現場では大きな強みになる。
反対に、内向型だからこそ苦労しやすい場面もある。
内向型は外部からの刺激に弱い傾向がある。
介護現場は「大勢のスタッフと連携しながら動く」「絶えず声かけが必要」など、刺激の密度が高い仕事だ。
そのため、どうしても疲れやすく精神状態に影響が出やすい。
私自身も刺激に弱く、休憩時間は必ず1人で静かに過ごしたり、仕事終わりの飲み会を断ったりして、エネルギー管理を徹底している。
介護職は「チームで動く仕事」ではあるが、内向型が無理をして外向的に振る舞う必要はない。
自分のエネルギーの減り方を把握し、休息や距離の取り方を工夫することで長く続けられる。
介護現場では、どれだけ安全管理を徹底していても、トラブルは日常的に起こる。
これは職員の力量に関わらず発生するものであり、ある意味で「避けられない仕事の一部」と言える。
入浴介助中(1人)のときに利用者の状態が変わる。
転倒リスクの高い認知症の利用者が、同時に立ち上がる。
利用者同士の口論やけんかが突然始まる。
こうしたトラブルは、外向・内向に関わらず脳の疲労を一気に高める。
しかし、刺激に敏感な内向型にとっては、より強いエネルギー消耗につながりやすい。
だからこそ、内向型は「どんなトラブルが起こり得るか」「どんな場面が危険か」を普段から予測し、できるだけ先回りして動ける環境を整えることが大切だ。
私の介護職としてのスタートは、小規模多機能型居宅介護だった。
そこで約3年半働き、多様な利用者支援や家族対応を経験したのち退職。
その後、特別養護老人ホーム(以下、特養)に入職し、現在まで現場に立ち続けている。
主要な介護現場(一部)
日中のみの通い支援。食事や入浴、レクリエーションなどの支援を受ける。
「通い・泊まり・訪問」を一体化したサービス。(デイサービス×訪問介護×宿泊)
認知症の方、最大9名と共同生活。少人数で密な支援を提供する。
入居型で日中は看護師も常駐。連携の多さと緊急対応はそれなり。終の棲家としての役割もある。
私が働いていた小規模多機能型居宅介護では、1日に2回・合計2時間のレクリエーションがあった。
正直に言うと、このレクリエーションが本当に苦手だった。
就職して1ヶ月ほどで心身が限界になりかけたほど。
その後は先輩の理解もあり、記録業務や1対1のケア中心の働き方にシフトした。
しかし、もし当時「苦手?」と声をかけてもらえなかったら、そのまま退職していた可能性すらある。
人見知りや緊張しやすい気質も相まって、毎日のように大人数を前にした進行役は、精神的にかなり負担が大きかった。
スピーチや「1対多」の場が苦手な人は、レクリエーションが少ない施設を選ぶことを強くおすすめしたい。
苦手な人は本当に苦手で、「毎晩寝る前に、明日のレクリエーション内容を考えて苦しくなる」という声も珍しくない。
レクリエーションの得意・不得意は、内向型や外向型に関係なく個人差が大きい。
いつも物静かな職員で、レクリエーションのときだけ驚くほど活気を出して楽しんでいる人もいた。
タイプで割り切れない分、事前に施設の特徴を知っておくことが大切だ。
現在働いている特養は、小規模多機能型居宅介護よりも体力を使う。これは間違いない。
全利用者60名の名前・顔・特徴を把握する必要がある
要介護3以上、寝たきりの方も多く、状態が日ごとに変わることもある
慣れないうちは介助で腰や肩を痛めやすい
生活介助だけで半日が終わることもある
担当利用者のケアも同時並行で進める
こうして見るとハードな環境だが、そのぶん利用者から感謝される場面も多い。
「ありがとう」の一言が、本当に力になる。
そして苦手だったレクリエーションも、今の特養では月に数回・複数人で役割分担して行うため負担が少ない。
人見知りで赤面しやすく、よく職場でネタにされるが、それすら笑いに変えられるくらいには慣れた。
あと、給料がめちゃくちゃいい。
介護職は「誰でもできる仕事」ではなく、高度な技術と理解が求められる専門職だ。
それでも現場では人手不足が続き、「未経験歓迎」の求人が多いのも現実である。
施設形態が多く、働き方もさまざま。その中から自分に合った環境を見つけるのは簡単ではない。
しかし、内向型という特性は介護の現場で確かに生きる。
観察力・思考力・丁寧な対人姿勢は、ケアの質を高める重要な資質になる。
✅ この記事のまとめ
✨内向型×介護の強み
本記事は筆者の経験をもとにした参考情報です。
介護の状況は施設や利用者によって異なるため、すべてのケースに当てはまるとは限りません。


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