内気な私がチームリーダーなんて……。
もし自分を内向型だと感じている人が「リーダーをお願いします」と言われたら、思わずそう反応してしまうかもしれない。
リーダーと聞くと、どうしても外向型のイメージが頭によぎる。
カリスマ性があり、みんなを引っ張ってくれる
コミュニケーションが得意で、チームをまとめてくれる
いつもはきはきとしており、場を盛り上げてくれる
では、内向型の人はチームリーダーには向いていないのだろうか?
否。内向型にもリーダーとして発揮できる強みがたくさんある。
派手さやカリスマ性がなくても、内向型ならではのリーダーシップがある。
この記事では、その魅力と注意点をわかりやすく解説していく。
✅この記事の概要
- 内向型にどんなリーダーの資質があるのかが分かる
- 外向型リーダーとの違いと、向く場面の違いが理解できる
- 内向型リーダーが抱えやすい悩みを把握できる
- 強みを活かすための働き方・工夫が分かる
目次
内向型でもリーダーになれるのか?
理想のリーダーとはなにか?
そもそも「理想のチームリーダー」とは、どのような人物だろうか。
深い傾聴と洞察力:
メンバーの発言に込められた意図を静かに受け止め、課題の本質を見抜く判断力。
心理的安全性の構築:
失敗を恐れず意見を言える環境を整え、メンバーの力を引き出していく姿勢。
一貫したビジョン:
熟慮を重ねて設定した目的や価値観を、状況に流されず示し続ける芯の強さ。
メンバーの話に耳を傾け、才能を引き出し、チームの目的を達成するために力を尽くす。
多くの人が、このような姿を「理想のリーダー像」として思い浮かべるだろう。
では、このような資質は「外向型の人だけ」に備わるものなのだろうか?
私自身が内向型のため多少のひいき目はあるが、これらは内向型の特性とも自然に重なる部分が多い。
内向型の特性はリーダーに活きる
内向型の人は、対人関係でも物事をじっくり考える傾向を持つことが多い。
外向型のように、人との対話を通じてアイデアを広げていくタイプとは少し異なり、まず内側で深く思考することが多い。
しかし、この「考えるクセ」こそが、チームリーダーとして大きな強みになる。
内向型の特性とリーダー
課題に対して、「この方向性は本当に正しいのか?」と冷静に見直す視点を持てる
メンバーの「この案はどうですか?」という提案を、好みではなく「課題達成」という軸で判断できる
進行の途中で誤りが発覚しても、感情的にならず柔軟に軌道修正できる
外向型の「俺についてこい!」というスタイルでは、メンバーが「もしかしたら違うかも…」という意見を出しにくくなることがある。
ピラミッド型の上下関係ではなく、メンバー全員が役割を持って支え合う「円環型のチーム」をつくりやすいのが、内向型リーダーの魅力だ。
そのようなチーム環境こそが、内向型リーダーの資質を最大限に引き出す。
代表的な内向型リーダーの事例
世界的にも、内向型のリーダーが活躍している例は多い。
ビル・ゲイツ
内向型リーダーとして最もよく知られているのが、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏だ。
派手さよりも思索や分析を重視し、静かなリーダーシップで世界を動かした人物として知られている。
スーザン・ケイン
『内向型人間の時代』の著者として知られるスーザン・ケイン氏も、典型的な内向型リーダーだ。
彼女は「静かな力(Quiet Power)」という概念を提唱し、内向型の価値を世界に広めた。
本人はスピーチが得意ではないにもかかわらず、TEDでの講演を成功させ、多くの人の考え方に影響を与えた。
スティーブ・ウォズニアック
アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏も、内向型の代表的な成功例である。
前に出て引っ張るタイプではなく、深い集中力と技術的創造性によってチームに貢献した人物だ。
これらの人物に共通しているのは、「外向型のような声の大きさ」ではない。
洞察・分析・独創性・価値観の一貫性など、内向型が得意とする資質を最大限に活かしている点である。
内向型のリーダー資質を広めたのもスーザン・ケインニャ。
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外向型リーダーとの違い
内向型にもリーダーとしての資質は十分にある。
しかし、それは「外向型には資質がない」という意味ではない。
外向型の強み
外向型のリーダーは、エネルギッシュな関わりを通じて、受動的になりがちなメンバーを前向きな方向へと引き上げる力がある。
外向型のカリスマ性は、例えるなら「場の空気を一気に明るくするヒーロー」のようなものだ。
外向型リーダー
自信を持って発言し、積極的に人と関わることで、チームに勢いと活気を生み出す
迷いや停滞が起きている場面では、外向型リーダーのスピード感と決断力が大きな推進力となる
情報収集や社内外とのコミュニケーションを得意とする
外部との連携や折衝が必要な場面では大きな強みを発揮する
メンバーに「あの人についていけば大丈夫」と思わせる力が、外向型リーダーの資質だ。
優劣ではなく「スタイル」の違い
外向型は「ピラミッド型のチーム」
内向型は「円環型のチーム」
円環型のチームは、互いに意見を出し合いながら進める点で非常にメリットがある。
しかし、チームの規模が大きい場合や自己中心的なメンバーがいる場合は、いい方向に機能するとは限らない。
そういった場面では、強い牽引力や決断力を持つ外向型リーダーが力を発揮しやすい。
カリスマ性やスピード感が必要になる状況では、外向型のスタイルがチームを前に動かしやすいのだ。
つまり、どちらが優れているかではなく、状況や環境に応じて適した「リーダーのスタイル」が異なるだけである。
内向型リーダーが発揮しやすい強み
ここからは、具体的に「内向型リーダーの強み」を紹介していこう。
深い傾聴と観察力
内向型のチームリーダーは「目標を達成する」ことに加えて「1人ひとりの動きや変化」を把握する力に優れている。
チームリーダーでなくても「あの人、今日は体調が悪そうだな」と感じたことはないだろうか?
メンバーがどんな意見を持ち、どこで迷っているのかを察しながら、全体としてどのような修正や調整が必要かを丁寧に考えられるタイプだ。
一方で、外向型リーダーは「目標に対してどのようなアプローチが最も効果的か」という視点にフォーカスしやすい傾向がある。
丁寧な意思決定
外向型リーダーの「あの人なら大丈夫」というカリスマ性は魅力的だ。
しかし、場面によっては意思決定が「感覚的・直感的」になりすぎてしまうことがある。
内向型のチームリーダーは意見を丁寧に聞き取り、分析して判断するため、結論に至るまでのプロセスが慎重だ。
達成課題に対して「なんかおかしくない?」と感じたことはないだろうか?
これは「情報を集め、十分に検討し、納得感のある意思決定を行う」という、内向型リーダーの資質といえる。
そのため、スピード感が求められる仕事や、即断即決が必要な場面には向かないことがある。
複雑な案件や、メンバーの合意形成が重要な場面では、この慎重さと丁寧さがチームの安定感につながるのだ。
安心感をつくるコミュニケーション
職場の雰囲気やチーム全体の働きやすさに大きく影響するのが、メンバーとのコミュニケーションである。
毎日定刻に行われるこの会議に、本当に意味はあるのだろうか?
内向型のメンバーは、こうした「なんとなく続いている習慣」や「空気で決まっているルール」に敏感だ。
同じ内向型のリーダーがいれば、同じ考えや近い思考を持ち、必要以上に消耗していないかを察することができる。
また、落ち着いたトーンで対話することも多いため、メンバーが安心して意見を伝えやすくなる。
心理的安全性が生まれ、チームの雰囲気を整えていくのだ。
「話しやすい」「否定されない」「落ち着いた空間」
これらは内向型リーダーが自然とつくり出せる大きな強みであり、結果としてメンバーの主体性や発言量を引き出すことにつながる。
内向型リーダーが悩みやすいポイント
内向型がリーダーを務めると、特有の悩みを抱えやすい場面も出てくる。
会議で話せない/意見に割って入れない
リーダーという立場になると他のリーダーとの会議や、複数人でのディスカッションに参加する場面も増えてくる。
しかし、会議での発言は内向型にとって負担を感じやすいものだ。
特に周囲のリーダーが外向型の場合、テンポよく意見が飛び交い議論がどんどん進んでいく。
そのスピードの中で「自分の意見をどう言語化しようか」と考えているうちに、話題が次の議題へ移ってしまう。
会議が終わってから「あの件について私の意見ですが…」と伝えても「なんで会議中に言わないの?」と返されてしまうこともあるだろう。
衝突や感情的な場面が苦手
チームで動いていると、メンバー同士の意見が食い違ったり、ちょっとした行き違いから衝突が起こることもある。
実際、相性の悪いメンバー同士が組むことで効率が下がる場面は、どこの職場でも見られるだろう。
このような感情が揺れ動く場面は、内向型にとって特にエネルギーを消耗しやすい。
怒号が飛ぶ会議や、声の大きいメンバー同士の対立が始まると、頭が真っ白になってしまうこともある。
場をコントロールしようとしても、言うべき言葉がすぐに出てこなかったり、状況を静観してしまうことがある。
「自信のなさ」を抱えやすい
内向型のリーダーは責任感が強いぶん「自分はちゃんとできているだろうか?」と必要以上に自分を疑ってしまうことがある。
その思考が「私にはリーダーは向いていない」という思い込みにつながることもある。
外向型のように堂々と意見を述べたり、大勢の前で熱く語るタイプではないため、周囲と比較して自信を失いやすい。
会議でうまく話せなかった日や、ちょっとしたミスがあった日は、他の人以上に気にしてしまう。
その結果、「自分は本当にリーダーに向いているのだろうか」と落ち込んでしまうことも少なくない。
小さな出来事でも、心の中で反省が止まらなくなることがある。
内向型リーダーが能力を発揮する方法
では、内向型ならではの悩みを抱えながらも、リーダーとして力を発揮するにはどうすればよいのだろうか。
事前準備を徹底する
内向型は、その場で即興的に発言したり、考えながら話すことがあまり得意ではない。
会議・ミーティングでは、事前に情報を整理しておくことで実力を発揮しやすくなる。
議題を読み込み、必要な資料に目を通し、自分の意見や質問をメモしておく。
こうした準備があるだけで、会議中の負担は大きく軽減される。
その場ではうまく言葉が出てこなくても、準備していた内容が「話すための芯」になる。
また、会議の最初に発言することも有用だ。
最初の発言は「アンカリング効果」という心理効果が働き、メンバーの頭に残りやすくなる。
また、意見を求められたときは「10秒時間をください」と勇気をもって発言するのもおすすめだ。
強みを活かした意思決定プロセスを作る
内向型は、感情よりも事実や根拠をもとに判断することを得意としている。
最初から「考える時間」を確保しておくことで、この強みは生きる。
情報を整理し、選択肢を比べ、落ち着いてリスクを見る。この丁寧さが判断の質を高める。
「考える時間」を意思決定に組み込むと、精度の高い結論につながりやすい。
意見を1度持ち帰り、後日判断するスタイルも有効。
ただし、人には確証バイアスという、自分の考えに合う情報だけを集めてしまう傾向がある。
質の高い判断のためには、自分の結論を否定する情報も意識して探すことが大切だ。
また、結論を出すのに「強い自信」は必要ない。むしろ「これでいいのか」と立ち止まれる臆病さが偏りを防ぐ。
失敗があっても、それも次の判断に活かせる。
自信の有無と結果は必ずしも一致するわけではない。万全の準備のほうが成果に影響しやすいのだ。
向いている職場環境を選ぶ/作る
内向型が力を発揮しやすいかどうかは、仕事内容そのものよりも「働く環境」に大きく左右される。
人が常に行き交う、電話と会話が絶えない職場では、思考が途切れやすくエネルギーも消耗しやすい。
内向型リーダーとして「環境選びはもっとも大事な要素の1つ」と言ってもいい。
「静かに考える時間があるか」
「1人の作業と会議のバランスは取れているか」
「必要以上に人間関係の摩擦が起きない仕組みがあるか」
これらの条件が整っているだけで、内向型リーダーの負担は大きく減り、判断の精度も安定しやすくなる。
もし環境を選べない場合でも、小さな工夫で働きやすさは大きく変わる。
早朝、静かなカフェで作業をする
昼食は静かな環境を選ぶ
飲み会は最小限にする
まとめ|内向型のリーダーシップは魅力的
内向型にはリーダーの資質がある。
外向型のようなカリスマ性はなくても、チーム全体を高めることができると私は思っている。
丁寧に耳を傾け、静かに状況を観察し、慎重に判断する。
その積み重ねが、結果としてチームの安定や成長につながる
✅ この記事のまとめ
- 内向型には、静かに支えるリーダーシップの強みがある
- 外向型と内向型は優劣ではなく「スタイルの違い」
- 会議・衝突・自信など、内向型ならではの悩みは起こりやすい
- 準備や環境づくりで、内向型リーダーの力は十分発揮できる
✨内向型リーダーの魅力と注意点
- 魅力:深い傾聴・丁寧な判断・落ち着いた関係づくり
- 魅力:安心感をもたらし、メンバーの力を引き出す
- 魅力:慎重さがチーム全体の安定につながる
- 注意点:会議のテンポや対立に疲れやすい
- 注意点:自信を失いやすく、自己評価が下がりがち
- 注意点:環境が合わないと力を発揮しにくい
免責事項
本記事は筆者の経験や心理学の知見をもとにした参考情報です。
ご自身の感覚や状況に合わせて、無理のない範囲で取り入れてください。
参考文献
【内向型を強みにする おとなしい人が活躍するためのガイド】
マーティ・オルセン・レイニー(著)務台夏子(訳) パンローリング:2013年
【内向型人間のすごい力 ─ 静かな人が世界を変える】
スーザン・ケイン(著)古草秀子(訳)講談社:2015年
【静かな力 ― 内向型の人が自分らしく生きるための本】
スーザン・ケイン(著)グレゴリー・モーン(著)エリカ・モローズ(著)西田佳子(訳)学研プラス:2018年
【ファスト&スロー(上・下)】
ダニエル・カーネマン(著)村井章子(訳)早川書房:2012年
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