人付き合いが苦手で、疲れやすくて、いつもどこか生きづらい。
――そんな内向型の人にこそ伝えたい、小さな習慣がある。
「そんなことで変わるわけない」と思うかもしれない。けれど、姿勢はただの「体の形」ではなく、心のあり方や思考のクセと深く結びついている。
心理学や脳科学の研究でも、背筋を伸ばすだけで気分が前向きになりやすいことが示されている。1
- 気持ちが安定し、自信が戻ってくる
- 肩こり・腰痛などの慢性疲労がやわらぐ
- 見た目の印象が良くなり、人間関係もスムーズになる
- 筋力・バランス能力が保たれ、健康寿命を延ばす効果も期待できる
つまり「姿勢を整える」は、メンタル改善にも健康維持にもつながる心身のセルフケア習慣といえる。
この記事では、内向型の人がなぜ姿勢を崩しやすいのか、姿勢と心の関係、そして介護士として実際に体験した変化まで、科学と現場の両面からお伝えしていく。
✅この記事の概要
- なぜ内向型は姿勢が崩れやすいのか
- 背筋を伸ばすとメンタルが整う科学的理由
- 姿勢を整えると体も心も軽くなる
- 健康寿命と姿勢の関係
- 介護士から見た健康の重要性
- すぐ始められる「姿勢リセット習慣」
なぜ内向型の人は姿勢が崩れやすいのか
そもそも「内向型」とはどんな気質なのか。
それを理解しておくと、なぜ姿勢が崩れやすいのか、その背景がより見えてきます。

下を向きやすい趣味の影響
内向型は静かな空間で一人の時間を楽しむ傾向がある。
読書、映画鑑賞、ゲーム、プログラミング、執筆、イラスト制作など、集中して取り組む趣味が多い。
- 読書や日記を書く
- スマホやPCで調べ物をする
- 創作(絵・文章・動画編集など)
- 長時間のゲームやSNSチェック
これらの活動はどれも「前かがみ」や「うつむき姿勢」になりやすく、長時間続くと首や肩、背中に負担がかかりやすい。
首が前に出るストレートネック、背中が丸まる猫背はその典型的なサインだ。

うつむく時間が長いと、気分まで下向きになるニャ…
また、座っている時間が長くなることで下半身の筋肉が弱り、骨盤が後ろに傾く傾向がある。
その結果、姿勢の軸がズレて「背筋を伸ばすのがつらい体」になっていく。
姿勢は癖ではなく、積み重ねた習慣。
毎日少しずつ「下を向く時間」が長いだけで、無意識のうちに猫背体質ができあがっていく。
大切なのは「好きなことを我慢する」ことではなく、姿勢を意識的にリセットする習慣を加えること。
それだけで、心身への負担は大きく変わる。



趣味はそのままでOK。姿勢リセットを「おまけ習慣」にするニャ!
無意識の「防衛姿勢」と心の緊張
内向型は外からの刺激に敏感で、人と関わるときも常に周囲の反応を読み取ろうとする。
その結果、体が知らず知らずのうちに緊張しやすくなる。
たとえば、背中を丸めるのは一般的に「防衛姿勢」と呼ばれる。
心理学では、より広い文脈で「防衛機制」として説明される。
人と話しているときに肩をすくめる、腕を組む、背中を丸める。これらはすべて、無意識のうちに身を守ろうとした結果に起こる身体の反応。
敵意ではなく、自分を落ち着かせようとする自然な行動でもある。
- 人前で話すときに腕を組む
- 緊張すると背中を丸める
- 考えごとをするときに下を向く
- 他人の視線を避けてうつむく
防衛姿勢は一時的に安心感を与えるが、長く続くと胸が閉じ、呼吸が浅くなる。体は常に「緊張モード」のままとなり、心まで疲れやすくなる。



背中が丸まると、呼吸も浅くなってリラックスできなくなるニャ。
心理学では、姿勢と感情には相互作用があるとされる。
「緊張したから体が縮こまる」だけでなく、「体が縮こまったから不安になる」という逆の流れも起こる。
姿勢を変えることは、心の反応を変えることにつながる。
背筋を伸ばすことで呼吸が深くなり、副交感神経が働き、気持ちが落ち着きやすくなる
防衛姿勢を完全になくす必要はない。
大切なのは、緊張したときに「今、体が縮こまっているな」と気づくこと。その一瞬の気づきが、心の余裕を取り戻すきっかけになる。
悪い姿勢が及ぼす健康被害
姿勢ひとつで、脳と体がストレスを感じる
猫背やスマホ首(ストレートネック)の姿勢が続くと、頭の重さを支えるために首や肩の筋肉が常に緊張状態になる。
その結果、血流が悪くなり、酸素が脳まで届きにくくなる。呼吸も浅くなり、体は常に「軽いストレス状態」を維持しようとする。
- 猫背になる → 胸が閉じて呼吸が浅くなる
- 呼吸が浅くなる → 自律神経が乱れやすくなる
- 自律神経が乱れる → 不安やイライラを感じやすくなる
実際、心理学や健康科学の研究でも、姿勢の違いが感情の感じ方やストレス反応に影響することが報告されている。
例:下を向く姿勢では悲しみの感情を感じやすく、背筋を伸ばすとポジティブ感情が高まる傾向がある。
スマホを見る時間が長いほど、知らないうちに首が前に出て姿勢が定着していく。
この「小さな前傾」が積み重なることで、気分の落ち込みや集中力の低下にもつながる。
姿勢を整えることは、メンタルケアの第一歩。
心が疲れているときほど、考えるよりも先に「体を整える」ことが回復への近道になる。
姿勢は全身のバランスで成り立つ
姿勢の崩れは、体の一部分だけの問題ではない。
全身は筋肉と骨格で連動しており、どこか一つが歪むと、その負担が全体に広がっていく。
たとえば、頭をボウリングのボールに例えると分かりやすい。
ボウリングのボールが頭の上にあると想像してみよう。
下半身と上半身がバランスよく支えているときは安定しているが、少しでもボールが前にずれると、重心が崩れ、首や肩だけで支えることになる。
人の頭の重さは約5kg。わずかに前へ傾くだけで、首や背中には何倍もの負荷がかかる。
その負担はやがて腰や骨盤にも伝わる。体はバランスを取ろうとして、無意識のうちに他の部位で「代償」を始めるからだ。
- 頭が前に出る → 首の筋肉が張る
- 背中が丸まる → 骨盤が後ろに傾く
- 骨盤が傾く → 膝や足首に負担がかかる
このように、姿勢の崩れは「首」や「腰」だけではなく「膝」や「足」にまで波及していく。
実際に整形外科の現場でも、ストレートネックがきっかけで腰痛やO脚を併発するケースが報告されている。2
また、猫背になると内臓が圧迫され、消化や呼吸などに悪影響を及ぼす可能性があると指摘されている。3
頭から足の先まで、姿勢は一つのラインでつながっている。
だからこそ、首や背中の姿勢を整えることが、結果的に全身の安定にもつながる。
背筋を伸ばすと気持ちが前向きになる理由
自律神経と姿勢の深い関係
姿勢は見た目だけでなく、体の中の働き――とくに自律神経にも影響を与えている。
呼吸や心拍、消化などを自動でコントロールしている神経のこと。
緊張やリラックスを切り替える「オン・オフのスイッチ」のような役割を持っている。
背中が丸まって胸が閉じると呼吸が浅くなり、交感神経が優位になって「戦う・逃げるモード」になりやすい。
逆に、背筋を伸ばして胸を開くと、副交感神経が働きやすくなり、体は「リラックスモード」に切り替わる。



姿勢を整えるだけで、心のスイッチまで切り替わるんだニャ。
つまり、姿勢を正すことは呼吸を整え、自律神経を整えることにもつながる。
その積み重ねが、気分の安定や集中力の向上、ストレス耐性の強化へとつながっていく。
姿勢を整えることは、心を整えること。
そのバランスが取れるだけで、日常のストレスに強くなれる。
身体と感情はつながっている
「気分が落ち込んだから背中が丸まる」と思うかもしれない。
でも、実はその逆で「背中が丸まるから気分が落ち込む」こともある。
人の脳は、姿勢や筋肉のこわばり、呼吸の深さなど、体の中と外で起きている小さな変化を常にキャッチしている。
その中で、体の動きや姿勢のバランスを感じ取るのが固有感覚、体の内側の変化を感じ取るのが内受容感覚(ないじゅようかんかく)だ。
- 固有感覚:体を動かしたときに、手足の位置や力加減がわかる感覚。目を閉じても体の位置がわかるのはこの感覚のおかげ。
- 内受容感覚:体の内側(心拍・呼吸・筋肉の緊張)を通して、今の自分が安心しているか、緊張しているかを感じ取る感覚。
この二つの感覚から見ても、悪い姿勢が心に与える影響は大きい。
つまり、体の状態(姿勢・筋肉・呼吸)が、そのまま心の状態になるということだ。
脳は、私たちが思う以上に体に敏感だ。体の変化を感じ取ると、それに合わせて心の反応を先に準備する。
たとえば、胸がぎゅっと縮こまると不安を感じやすくなり、胸を開いて深く息を吸うと安心や自信を感じやすい。
姿勢を整えることで、体の感覚(固有感覚)と内側の感覚(内受容感覚)がそろい、心も落ち着きやすくなる。
また、この固有感覚と内受容感覚に「思考や感情への気づき」を加え「今、この瞬間の自分」に集中することをマインドフルネスという。



「気分」は心だけでなく、体の感覚からも作られるんだニャ。
落ち込んでいるときほど、いったん背筋を伸ばしてみよう。それだけで呼吸が少し深くなり、脳が「今は大丈夫」と感じやすくなる。
その小さな変化が、心を少しずつ前向きに戻していく。
姿勢を整えると体も心も軽くなる
腰痛・肩こり・疲れの改善
悪い姿勢は、体の一部だけに負担を集中させる。
猫背やスマホ首が続くと、首・肩・腰の筋肉が常に引っ張られ、慢性的なこりや痛みにつながりやすい。
とくにデスクワークが多い人は、長時間同じ姿勢を取ることで血流が滞り、筋肉が酸欠状態に。これが「だるさ」や「疲れが取れない」原因になる。
- 首・肩・腰のこりがやわらぐ
- 血流が改善し、疲れが残りにくくなる
- 姿勢筋(体幹)のバランスが整う
- 深い呼吸ができ、集中力が高まる



体が軽くなると、気持ちも前向きになるニャ!
「体が疲れている=姿勢が崩れているサイン」でもある。
背筋を伸ばして座るだけでも、血流と呼吸が整い、脳への酸素供給もスムーズになる。
姿勢を整えることは、最高のセルフケア。
マッサージよりも、まずは「体の使い方」を整えることから始めよう。
姿勢が変わると印象も変わる
姿勢が整うと、見た目の印象まで変わる。
背筋が伸びている人は、それだけで「自信がありそう」「前向き」「信頼できそう」と感じさせる。
これは心理学でいう非言語的コミュニケーションの一種だ。
反対に、うつむいた姿勢や猫背は、たとえ悪気がなくても「疲れていそう」「元気がなさそう」と受け取られやすい。
これは生物的で直感的な反応だ。次の2人を想像してみてほしい。
- 猫背で、頭が肩より前に出て、下を向いている部長
- 背筋が伸びていて、顎を引き、前を向いているキャリアウーマン
実際に仕事ができるのは部長かもしれない。しかし、人は自然とキャリアウーマンの方に好印象を抱く。
たったこれだけの描写でも印象が変わる。つまり、実際の姿勢ではその効果はさらに顕著になる。
- 背筋をまっすぐにする
- 顎を軽く引く
- 胸を少し開く
- 目線を正面に向ける
これだけで、相手からの印象だけでなく、自分の気持ちまで自然と引き上がる。



「姿勢を変える=自己肯定感のスイッチ」なんだニャ!
姿勢を整えることは、自己評価と他者評価の両方を上げる。
外見の変化が、内面の自信を後押ししてくれる。
将来の「健康寿命」にも関係する
姿勢を整えることは、今この瞬間だけでなく、将来の自分の体にも大きな影響を与える。
これは、介護福祉士としての経験から言える私の言葉である。
介護を受けずに自立して生活できる期間のこと。
厚生労働省の統計5によると、2022年時点での平均寿命は男性81.05歳・女性87.09歳。
健康寿命は男性72.57年・女性75.45年と報告されている。
つまり、平均寿命との差――すなわち「自立して生活できない期間」は、男性で約9年、女性で約12年にも及ぶ。
寿命そのものよりも、「どれだけ長く、自分の足で歩けるか」「自分らしく暮らせるか」が重要になってくる。
その土台となるのが、実は「姿勢」だ。
健康に関しては「食事・睡眠・運動・ストレス対処」ももちろん大切だが、まずは姿勢である。
なぜなら、今すぐに・コストゼロで・誰でも始められるからだ。
- 猫背や骨盤の歪みは、転倒や腰痛のリスクを高める
- 姿勢が崩れると、バランス能力や筋力が低下しやすい
- 呼吸が浅くなり、酸素や血流の巡りが悪くなる
- 代謝が落ち、疲れやすくなり、活動量が減る
このように、姿勢の悪化は「少しの不調」から始まり、やがて全身の機能低下につながっていく。
逆に言えば、毎日の姿勢を意識するだけで、将来の不調を予防できるということでもある。
私は介護士として、日々さまざまな人の「老い」と向き合っている。
健康をおろそかにした結果が、どれほど人生の質を左右するか――その現実を痛いほど見てきた。
だからこそ、声を大にして伝えたい。
姿勢を整えることは、未来の自分への投資。
背筋を伸ばすという小さな行動が、10年後・20年後の「動ける自分」を作っていく。
健康やメンタルの問題は、日々の小さな選択の積み重ねで決まる。だからこそ、まずは「姿勢」から整えていこう。



未来の自分が「ありがとう」って言う日が来るニャ!
私の体験談:姿勢を変えて変わったこと
腰痛に悩んだ介護士時代
私は現役の介護士だが、かつては介護士の多くが抱える腰痛に悩まされていた。
実際に5年間で2度、ぎっくり腰を経験している。しかも2度目の発症から数ヶ月後には、慢性腰痛として再び痛みが戻り、半年以上も悩まされた。
当時の私は運動習慣こそあったものの、仕事中は無理な体勢で利用者を抱え、読書は前傾姿勢、首は前に出がち。
いわゆる猫背&ストレートネック予備軍だった。
「椎間板ヘルニアになってはたまるか!」という一心で、整骨院に通い、整形外科でレントゲンを撮り、医師や同僚のPT(理学療法士)にも相談した。
そして、いくつもの意見と自分の経験を照らし合わせた結果、私は一つの結論にたどり着いた。
そこから私は、鏡で自分の姿勢を毎日チェックし、柔軟運動に加えて朝ヨガを習慣化した。
運動習慣はもともとあったが「正しい姿勢を意識する」ようになったのはこの時が初めてだった。
半年ほど続けるうちに、腰痛はほとんど消えた。
そればかりか、時おり感じていた肩こりもなくなり、職場の同僚から「姿勢いいね」と声をかけられるようになった。
姿勢が変わると、心も変わった
腰痛がなくなると、まず気づいたのは「疲れにくくなった」ことだった。
体が軽くなると、自然と気持ちも前向きになる。
以前は仕事が終わるとぐったりしていたが、今では少し余裕をもって人と話せるようになった。
ただし、赤面しやすい性質や社交不安は変わらない。
驚いたのは、姿勢を正すと気持ちが落ち込みにくくなること。体が丸まると心まで沈む――それは本当だった。
姿勢を整えることは、単に体を支えるためだけでなく、自分を支える「心の姿勢」でもある。
体が変わると、心のクセも変わる。
猫背を直すように、ネガティブな思考も少しずつまっすぐに整っていく。
姿勢を変えることは、人生の基盤を整えることだと今では思う。
今日からできる「姿勢リセット習慣」
ここまでで、姿勢がどれほど心と体に影響するかを見てきた。
とはいえ「姿勢を意識する」と言われても、最初のうちはなかなか難しいものだ。私も最初は何度も忘れ、気づけばまた猫背に戻っていた。
そこでここからは、私が実際に続けている「簡単な姿勢リセット習慣」を紹介したい。
私は整体や整形の専門家ではないが、最後に紹介する参考文献の中で学んだ方法をもとに、自分の体に合わせてカスタマイズしてきた。
この記事が、同じように姿勢に悩む人の小さな助けになれば嬉しい。



むずかしいことはナシ。今日からできるニャ!
朝:軽いストレッチ+深呼吸でスタートを整える
朝、目が覚めたらまず背を伸ばすことから始めよう。
無意識にやっている人も多いかもしれないが、大切なのは「伸びている自分を意識する」ことだ。
これは内受容感覚を刺激する行為で「背が伸びて気持ちいい」という感覚を丁寧に味わう。いわば、マインドフルネスの実践でもある。
背伸びを終えたら、頭・首・肩・背中・腰・脚の順に、ゆっくりと体を動かしていこう。
ポイントは、無理をせず「今の体を感じながら動かす」こと。
痛みを感じるところまでは決して行わないように。起床直後の体はまだ硬く、無理をすると怪我につながる。
ストレッチが終わったら、背筋を伸ばし、顎を軽く引き、肩甲骨を寄せて両腕を広げる。そのまま深呼吸を3回。
これだけで呼吸が深まり、脳に酸素が行き渡る。わずか2分間の習慣でも、体と心のスイッチが静かに切り替わる。



朝の2分で、一日が変わるニャ!
- 起きたらベッドの上で背伸びをする
- ベッドから降り、頭→首→肩→背中→腰→脚の順にストレッチ
- 無理せず、痛みを感じるところまでは動かさない
- 背筋を伸ばし、顎を軽く引く
- 肩甲骨を寄せて両腕を広げる
- その姿勢のまま深呼吸を3回
- ここまでで約2分。体と心のスイッチが入る
日中:座り姿勢を30秒でリセット
日中、どれくらいの時間を椅子の上で過ごしているだろうか?仕事でも休日でも、長時間座る時間が増えていないだろうか?
座り過ぎは血流を悪くし、筋肉を固め、姿勢を崩しやすくする。
実際、研究でも「長時間座ること」は腰痛や心身の不調リスクを高めると報告されている。6
理想は「1時間座ったら10分立つ」とされるが、忙しい日には難しいものだ。
だからこそ「気づいたときに30秒だけ」次のリセットをしてほしい。
- 一度立ち上がる
- 2、3回屈伸する
- 骨盤を立てて、まっすぐ座り直す
- 背筋を伸ばし、肩甲骨をゆっくり寄せる
- 首を右・左へ、ゆっくり回す
- 体を前に丸めてリラックス → 背を伸ばすを3回繰り返す
- 合計30秒でOK。血流が戻り、集中力もリセットされる
正しい姿勢を「キープする」より「何度でもリセットできる自分」でいる方が、ずっと現実的だ。



気づいた時にちょこっと直す、それで十分ニャ!
夜:スマホ首をリセットするストレッチ
一日の終わり、ベッドやソファでスマホを見ながら眠くなるまで過ごす――そんな時間は誰にでもある。
しかし、その姿勢こそが首や肩のこり、頭痛、そして睡眠の質の低下を招く原因になりやすい。
寝る前の数分でいい。スマホを見る前、または見終えたあとに次のストレッチをするだけで、体がぐっと軽くなる。
- 椅子または床に楽に座り、両肩の力を抜く
- 顎を軽く引き、後頭部をゆっくり後ろへ押す(壁があればつけてもOK)
- そのまま5秒キープ → 脱力を3回繰り返す
- 両手を後頭部に添え、ゆっくり首を前に倒す(背中は丸めない)
- 首筋の伸びを感じながら、深呼吸を3回
- 最後に両腕を上に伸ばし、大きく背伸びしてリセット完了
このストレッチは、スマホ姿勢で前に出た頭を正しい位置に戻し、首の緊張をゆるめて眠りの質を高めてくれる。
もちろん、睡眠の質を考えれば夜にスマホを見ないのが理想だ。
けれど、ここではそれよりも「リセットする意識」を大切にしたい。



おやすみ前の2分で、首も心もふわっと軽くなるニャ。
意識して姿勢を伸ばして歩く
これは一日のどのタイミングでも構わない。
通勤のとき、買い物のとき、少し外を歩くとき――ふと思い出したらやってみよう。
やることはシンプル。背筋を伸ばして歩く。それだけだ。
- 肩甲骨を軽く寄せて、胸を開く
- 頭のてっぺんが糸で吊られているように意識する
- 顎を軽く引く(うつむかない)
- 目線は前方、もしくはやや上に向ける
- 口角を上げて、ほんの少し笑顔を意識
- 歩くときは「かかとから着地→親指で地面を押す」
最初はぎこちなく感じても、続けるうちに体が覚えてくる。歩くたびに姿勢をリセットするつもりで、少しずつ意識してみよう。



背筋が伸びると、気持ちまで前向きになるニャ!
体の内側から姿勢を支える|IAP呼吸法
姿勢を整えるには、背筋や筋肉だけでなく、体の中にある「見えない力」も大切だ。
私たちの胴体の中には、横隔膜・腹筋・背筋・骨盤底筋に囲まれた「内臓を包む空間」がある。
その空間の中に保たれている圧力を、腹腔内圧(Intra-Abdominal Pressure:IAP)という。
この圧力は、体の中にある「見えない柱」のようなもの。うまく保たれていると姿勢が安定し、呼吸もしやすくなる。
逆に、圧が抜けすぎたり、力みすぎて高くなりすぎたりすると、腰や肩に負担がかかり、疲れやすくなる。
その体内の圧力を整え、身体のバランスを正常値に戻す、スポーツ医学の知見7から有効性が実証されている簡単な呼吸法がある。
それがIAP呼吸法だ。
IAP呼吸法のやり方
- 背筋を伸ばして立つ(または椅子に座る)
- 片手を胸、もう片方をお腹に置く
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹・わき腹・背中がふくらむように空気を入れる
- 口から細く息を吐きながら、お腹を軽く張ったまま圧を保つ
- 肩や首に力が入らないように意識する
- 5回ほどゆっくり繰り返す
コツは「お腹をふくらませる」ことではなく、体の中心にふわっと圧が満ちている感覚を感じること。
この呼吸をすると、体幹の奥が自然に安定し、背骨が支えられる。長く座っていたときや、疲れを感じるときにおすすめだ。
わずか2〜3分でも、呼吸が深まり、肩や首のこりがふっと軽くなる。



お腹の中に「やわらかい風船」があるつもりで、形を保ちながら呼吸するニャ!
IAP呼吸は、一般的な腹式呼吸とちがって、お腹をへこませない。軽く張ったまま呼吸することで、体の内側の支えが生まれる。
習慣にすると姿勢が安定するだけでなく、疲れにくく、呼吸も深くなる。まさに「体の内側を整えるリセット呼吸」だ。
まとめ:内向型こそ、姿勢を整えることで心が整う
姿勢は、ただの見た目ではなく「心の向き」を映す鏡だ。背筋を伸ばし、顎を引いて、前を向く。
それだけで呼吸が深まり、気持ちが少し前へ進む。
内向型の人は、人との関わりや環境刺激でエネルギーを消耗しやすい。だからこそ「体を通して心を整える」という方法が、とても大きな助けになる。
不安や緊張をゼロにすることはできない。けれど、姿勢を整えることで「安心できる自分」に戻ることはできる。
今日も、歩くとき・座るとき・眠る前――どこかのタイミングで、そっと姿勢をリセットしてみよう。
その小さな習慣が、心を少しずつ穏やかにしていく。



姿勢を整えるたび、心もまっすぐになるニャ。
今日も背筋を伸ばして、静かに前を向いていこう。
✅ この記事のまとめ
- 内向型は刺激に敏感で、無意識に「防衛姿勢」を取りやすい
- 猫背やスマホ首は、メンタルの不調や疲労感と深く関係している
- 背筋を伸ばすと呼吸が深まり、自律神経が整いやすくなる
- 姿勢を意識することは、自己肯定感を支える「体からのセルフケア」
- 朝・昼・夜・歩く・呼吸の5つのリセット習慣で、体も心も軽くなる
✨ 静かな強さは、まっすぐな姿勢から生まれる。
- 姿勢を整えることは、自分を守ること。
- 背筋を伸ばすことは、心をまっすぐにすること。
- 小さな習慣が、静かな自信を育てていく。
免責事項
本記事は、筆者自身の経験と、公開されている研究・書籍をもとにまとめた参考情報です。
筆者は介護福祉士としての実務経験を有しますが、医師・理学療法士・整体などの医療専門職ではありません。
紹介しているストレッチや姿勢改善法は、一般的な健康づくりを目的としたものであり、診断や治療を意図したものではありません。
痛みや体調の変化には個人差があります。違和感を覚えた場合は無理をせず中止し、必要に応じて整形外科などの専門機関にご相談ください。
本記事の内容は、日常生活の中で「姿勢を整えるヒント」としてご活用いただければ幸いです。
参考文献


整形外科医・川口浩による「一生自分の足で歩くための」体づくり本。
加齢による足腰の衰えや痛みを防ぐ、具体的な運動法と姿勢の整え方を分かりやすく紹介。姿勢と健康寿命の関係を知りたい人におすすめ。
続編には「ひざ」に特化した「100年ひざ」もあり、そちらもおすすめ。


柔道整復師である著者が、猫背が心身に及ぼす影響を科学的かつ実践的に解説。
プロゴルファー、プロ野球選手、大相撲力士など、数多くの一流アスリートへの施術経験をもとに、姿勢がもたらす力と可能性を語る。
【スタンフォード式 疲れない体】
山田知生(著)サンマーク出版:2018年
- 笠原彰(2023)「背筋を伸ばすだけで人生が変わる?心理学が明かすその驚きの効果」note ↩︎
- 【100年足腰】
巽一郎(著)サンマーク出版:2019年 ↩︎ - 【なぜ、ビジネスエリートには、猫背の人がいないのか?】
澤田 大筰(著)PHP研究所:2015年 ↩︎ - 寺澤悠理・梅田聡(2014)『内受容感覚と感情をつなぐ心理・神経メカニズム』日本心理学評論 第57巻 第1号 ↩︎
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム【平均寿命と健康寿命】 ↩︎
- 【世界の最新メソッドを医学博士が一冊にまとめた 最強脳のつくり方大全】
ジェームズ・グッドウィン(著)森嶋マリ(訳)文藝春秋:2024年 ↩︎ - 【スタンフォード式 疲れない体】
山田知生(著)サンマーク出版:2018年 ↩︎